コレステロールを低め老化や 心筋梗塞の基を断つ

年齢や体系にかかわらず、コレステロールに関心が高まっています。コレステロールが動脈硬化を招き、恐ろしい心筋梗塞などの成人病と深い関係があるためです。といっても、コレステロールそのものは決っして毒や有害物質ではありません。その証拠に、人間の体にとって有益な作用もしていますただ、コレステロールが異常に増えてくると、何かの原因で弱った動脈の壁にたまって、ただれたような状態になり、粥状(じゅくじょう)動脈硬化の原因となります。脂肪分の多い食事をするようになった私たちは、やはりコレステロールについて注意を払わなければなりません。

お茶の水女子大学の稲垣長典名誉教授は、血液中のコレステテロールとビタミンCの関係をモルモットによる実験で確かめたところ、適量のビタミンCが、増えすぎたコレステロールを減らすことを確認しています。以後、人間のコレステロールとビタミンCの関係についての調査や臨床が各大学の研究室や病院などを中心に行われてきました。それによるとコレステロールの場合、ビタミンCの大量の接種より適量のビタミンCの接種のほうが、コレステロールを理想的に低めることがわかってきました。ビタミンCがコレステロールを減らす理由として、稲垣教授は次の三つを上げています。

①コレステロールが体内に吸収されるのを妨げる

②胆汁の再吸収を妨げるため、

 コレステロールが胆汁の合成に使われ、結果的に血中コレステロールが減る

③コレステロールが体内で合成されるのを妨げる

などです。

このほか、胆石(主としてコレステロール系)ができるのを抑えることも動物実験で確認されています。ビタミンCに石そのものを溶解刺す力があるかどうかは別として、少なくとも胆石の予防には有効のようです。

また、ビタミンCはビタミンE同様、血液中の脂肪が酸化されて、老化や動脈硬化の原因となる過酸化脂質ができるのを抑える力があることも分かっています。